SMOKE

SMOKE [DVD]

　しみじみとしたよい映画。ハーヴェイ・カイテルとウィリアム・ハート、フォレスト・ウイテカーの共演で、脚本がポール・オースター、ニューヨークの街角が舞台となれば、そりゃそういう映画になりますでしょう、という、その通りのできあがり。

　大人の映画、としていよいのかな。少なくともお子ちゃまっぽいところはない。いささか大人ぶって申し訳ないけれども、この映画の中に描かれた痛みのうち、ある部分は、体験すること、見聞きすることの範囲が多少ないとわからないかもしれない。「ダメ」の経験と、少しずつすり減っていく残された時間みたいなもの。

　しかし、救いもある。

　オー・ヘンリーの小説なんかにも通じるテイストがあるが、ああいう甘みに渋みも混じっている。

　オー・ヘンリー、ピート・ハミル、ポール・オースターと、ニューヨークには、孤独とつながりをテーマにしたこの手のファンタジックな小品を書く流れがあるのかしらん。

　気持ちに比較的余裕のある時期の、夜中に見ることをおすすめします。

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