Wikipedeiaを見ていたら、桃太郎についてのこんな画像があった。
明治時代のものらしい。擬人化した犬、猿はまあいいとして、やはりキジは無理矢理である。桃太郎の話は、そもそも戦闘員(あるいは物語)にキジを加えた時点で無理があると思う。
現代のいささかふやけた感覚なのかもしれないが、これだけを見ると、あまり桃太郎側に肩入れする気になれない。鬼は(おそらく突然襲われて)一方的に虐殺されているように見える。
上のほうで、子どもの鬼を背負った母親が逃げまどっている。挿絵画家はこの部分を描くとき、どういう心持ちだったのであろうか。一族、つまり家族関係もある鬼集団を描く意図だったのか、それとも、ひそかに桃太郎の戦闘行為に対する疑問を、逃げまどう母子に託したのだろうか。
画家の意図はともかく、この母子、桃太郎の「正義」への異議を、シミが広がるように放っているように思う。もしこの母子が生き延びたら、その後、どういう物語が生まれるだろう。