原油の思い出

 原油が高騰しているそうで、中東情勢の不安定さのせいだとか。


 原油の埋蔵量がどのくらいに減っているのか、どのくらい原油の価格に影響しているのかは知らない。
 が、よくまあ、まだあるものだ、と感心する。


 中学校の社会科の教科書だったかに「ローマクラブレポート」か何か、そんな話が載っていた。「だったか」、「か何か」、「そんな話」と実にテキトーである。


 中学校だとすると、今を去ること二十ウン年前である。その「ローマクラブレポート」か何かでは資源の枯渇の問題を扱っていて、鉄はあと何年分ある、銅はあと何年、と見積もっていたと思う。


 石油は確か、あと30年とあった。おれが中年になる頃にはなくなるのかあ、とショックを受けた。


 そして、今、わたしは中年となったわけだが、まだ石油はある。どうやら、その後、油田があちこちで見つかったか、採掘できないと思われていたものが技術の進歩で採掘できるようになったらしい。


 それにしても、たくさんあるものだ。
 町にこれだけ自動車が走り回り、電力を使い、暖房し、プラスチックを作り、それを世界中でやっているのに、まだある。アホみたいにある。


 いやまあ、いずれはなくなるのだろうが、それが数年後のことなのか、百年後のことなのかはわからない。


 変な言い方だが、石油は、よくまあ、ここまで頑張ってくれたものだと思う。


 ありがとよ。これからもひとつ、頼むよ。他の何かでカバーできるようになるまで。勝手な言い草だけど。

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「今日の嘘八百」


嘘五百八十七 「赤ずきんちゃん」の狼は、退治されて死ぬ間際に「ちゃんと噛んでおけばよかった……」と後悔したという。