王子

 近頃、ナントカ王子と呼ばれる人がよくいるようだ。


 誰から始まったんだろう。「監禁王子」からだろうか。ロクでもない。


 でまあ、高校野球に有名な「ハンカチ王子」が出て、ゴルフの「ハニカミ王子」が来た。


 桂三枝師匠の弟子に桂三四郎という人がいて、たぶん、まだ前座さんである。


 前座さんだから、雑用をやる。
 噺家が高座を下りた後、次に出る噺家のために座布団を裏返すのも、前座さんの仕事のひとつである。


 三四郎さんはなかなかすっきりした顔立ちなので、自称か他称か、「座布団王子」なんだそうだ。


 座布団ひっくり返しているのに、王子。王子なのに、座布団。そこはかとなくアホらしくてよい。


 王子というのはうまくすると、王様になれる。さらに、歴史に残るような偉大な治世を現出すると、大王と呼ばれる。


 そうすると、斎藤クンもガンバっていれば、いずれ「ハンカチ大王」と呼ばれる日が来るのだろうか。
 石川クンは「ハニカミ大王」になるのか。大王なのに、はにかんでいる。はにかんでいるのに、大王。何だか、よくわからない。


 あのロクでもない男は「監禁大王」だろうか。なるべく無関係に生きていたい相手である。


 桂三四郎さんには、ぜひ芸を磨いて、出世をして、「座布団大王」を目指していただきたい。


 オスカー・ワイルドの名作「幸福の王子」(王子の像からツバメが金箔や宝石の目を運んでいくってやつね)も、王位を継承して、ガンバって治績をあげちゃうとなかなかすごいことになる。


 幸福の大王。


 いやまあ、大変に幸せそうな感じはいたしますが。

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「今日の嘘八百」


嘘五百三 「幸福の王子」を通じて作者が訴えたかったことは、所得の再分配の重要性である。