落語もいろんな人が聞きに来るもので、このあいだは隣に座っている人に困った。
四十代とおぼしき女性なのだが、例えば、「妾馬」だと、
ご家老「では、身について同道いたせ」
八五郎「えー、どこで回ればいいんです?」
ご家老「んん?」
八五郎「堂々巡りでしょ。ここでやれと言えば、やりやすから」
女「違う、違う」
落語のくすぐりにツッコミを入れるのである。
あるいは、
ご家老「ここで控えておれ」
八五郎「ひきがえる?」
女「カエルじゃないっつーの!」
てな調子で、ツッコんではケラケラ笑っている。
本人は楽しんでいるようなのだが、隣で聞かされるこっちはたまらない。
あのねえ、落語っていうのは、いちいちツッコまなくていいようにできてるんですよ。
かといって、こういうのは注意もしにくい。
まわりがゲラゲラ笑っているところで「静かにしてください!」も場違いだし、「ツッコまないでください!」も何だか変だ。
往生した。どうすればよかったのかニィ。
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「今日の嘘八百」
嘘四百二十八 日本文化に対する大阪の最大の貢献は、“ツッコミ”の発見である。