役人バッシング

 いつだったか、雑誌の編集の人と話をしていて、
「僕、これから役人叩きやってこうと思うんですよ」
 と言われたことがある。


 ふーん、と聞いていたら、
「役人叩いても、どこからも文句来ないですから」


 まあ、そら本人の勝手だが、あんまり志の高い話ではない。


 世の役人バッシングというのも、案外、この手のものが多いんじゃなかろうか。
 居酒屋政談の類もそうだが、ニュースショーのコメンテーター(何なのだ、しかし、「コメンテーター」って肩書きは)の発言も、硬軟いろいろな語り口で悪口を言うばかりで、具体的にどうすりゃいい、なんてことは考えてなさそうなものが多い。


 役人叩きでよく出てくるのが天下りの問題で、これはキャリア官僚制度に代表される役所の人事のやり方と結びついている。


 そりゃあ、同じ年代が数十人入って、横並びで昇進していけば、いずれポストはなくなる。
 ピラミッド構造を維持するには、少しずつ出ていってもらわねばならないだろう。で、出ていく先が天下り先、ということになるわけだ。


 中には国会議員とか、知事とかを目指す人もいるけれども、実はあれも一種の天下りなのかもしれない(ここんところは、ちょっと皮肉の風味を利かしてみました)。


 だから、天下りだけを何とかしようとしてもしょうがなくて、役所の昇進制度、人事の慣行に手をつけないとうまくはいかない。


 わたしにも、そこまではわかるのだが、じゃあ、どうすればいいのかとなるとわからない。
 まあ、わたしは馬鹿だからわからなくて当然なのだが、賢い人の実践的なプラン、実行するためのロードマップもあんまり聞いたことがない(不勉強なだけかもしれないが)。


 問題を指摘するのはいいのだけれども、もうさんざっぱらそれはやってきたと思う。その先がないと、毎度、毎度、役人をサンドバック代わりにして、多少のウサ晴らしで終わるんじゃないか。

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「今日の嘘八百」


嘘四百五 酒飲みに対する拷問のひとつに、アセトアルデヒドを点滴し続ける、というのがあるそうだ。