家元制度

 家元制度とマルチ商法というのはどう違うのだろうか。


 家元制度側の人は「うちは商売が目的じゃありません!」と言うだろうが、マルチ商法とされる側の人達も、「うちはビジネスという手段を通じて、人々に幸せを広めているんです」とか何とか、そんなことを言うだろう。


 マルチ商法では、ピラミッド構造の組織を通じて商品・サービスを販売するわけだが、芸事を教えて礼金をもらうというのだって、考えようによっては一種のサービスの販売である。


 日本舞踊の名取になるには、随分とお金がかかるんだそうだ。それによって、三味線のお師さんとか、舞踊の周辺にいる人も暮らしが立つわけだが、一部は上にも流れる。


 家元制度では、上から名取(日本舞踊)とか、許状(茶道)とかの資格を与える。マルチ商法もしばしば資格とか地位を与える。


 家元制度の中での地位が上がると、より多くの人に教えることができるようになる。弟子がさらに弟子を持って、間接的な弟子も増える。
 そうすると、束脩だの月謝(なんつーの? その筋では)だのも余計もらえるようになる。


 ま、人間の思いつく仕組みなんざ、今も昔も、東も西も、あんまり変わらないということかもしれない。