イライラ

 ここを読んでいる人から、時々、「読むと気が楽になります」という感想をいただくことがある。
 別に人を楽な気持ちにしようと思って書いているわけではないが、好意的に捉えていただけるのはありがたい。


 まあ、猿回しの猿がキャッキャ、キャッキャと騒ぐのを、忙しい合間に見るのも悪くない。そういうようなことかと思う。


 実際のわたしは気短かで、すぐにイライラする。いわゆる瞬間湯沸かし器なのだが、火力の弱いところが、ま、痛いところだ。


 例えば、道を歩くと、早足のせいもあって、よく前をふさがれることがある。


 老人や、子どもを連れた人ならしょうがないが、中高生や、大学生がかたまってタラタラ歩いていると、異常にイラつく。
 きゃつらには、ツルむとなぜか足取りが遅くなる習性があるうえに、スポーツバッグなんかを肩から下げていて、幅をとる。実に邪魔くさい。


 わたしは瞬時にボッと燃え上がる。「おれの行く手を邪魔するやつは、なん人たりとも許さねえ」と思う。内心でこそっと。ここらがどうも情けない。


 ブルース・リーの後ろ回し蹴りなぞを思い浮かべつつ、「すみません!」といささかケンのある声をかける。
 でもって、きゃつらの空けた道をスタスタ、いつもに輪をかけて早足で歩くのだが、なぜこっちが謝らにゃならんのか、と釈然としない。