どうせ進退を賭けるなら、いっそ、「円楽のプレイボーイ講座12章」に挑戦してほしかった。
若き日の円楽が、金に目がくらんで(?)、出したレコードである。
プレイボーイの心得を説く円楽のナレーションと、ジャジーでムーディーなイカした音楽が交互に出てくる。
クレージー・ケン・バンドの横山剣が小学生のときに聞いて人生を狂わされた、というのはあまりに有名な話だ。
わたしなんぞ、松岡きっこ姐さんの素肌にカーディガンというジャケットだけでクラクラである。
中を開くと、追い討ちとはこのことだ、きっこ姐さんが水着姿で寝そべって「ウッフ〜ン」とポーズを決めている。さっきからもう、鼻血が止まりません。ええ。
ンなことはどうでもよいですね。ハイハイ。
この円楽の講義がシビれるのだ。
第1章、女。プレイボーイたる君、プレイボーイたらんことを欲する君に、円楽がしばしの時間を割くことにする。初めにはっきり言っておこう。プレイボーイの全ては女だ。お・ん・な。この世の中で君の全てをなげうつに値する唯一のもの。そして目的はひとつ。征服するためのテクニックは、僕が教えよう。後は、君にまかせる。なぜなら、ベッドに入ってからは、言葉を必要としない――。
ナレーションにかぶさるように、イカした音楽がフェイドインしてくる。全編、このパターンである。
第9章、スポーツ。君はスポーツをやるかな? やる? よろしい。やらない? なおよろしい。なぜ? プレイボーイにはスポーツを必要としないから。なぜならば、余計なことで体を動かしたくないから。こと、僕の場合は、特にね……。
これを国立演芸場でやって、「ろれつが回らない。話のニュアンスが伝わらない」と、スッと身を引いたら、落語界の永遠の伝説となったろうに。
惜しいことをした。
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「今日の嘘八百」
嘘三百七十 「考える人」の像は多くの人に感銘を与えてきたが、彼が考えたことについて感銘を受けた人はいない。