真実とは何か

 もっと不思議なのは、江戸町奉行・遠山左衛門尉景元様が金さんと称して遊び歩いている、といういかにもオモシロそうな噂が江戸市中に広まらないことだ。


 悪人どもは、毎週、市中引き回しのうえ打ち首獄門になるから、ま、噂を広める暇もない。しかし、被害者の側はどうなのだろう。
 わたしだったら、人に話したくて話したくて、しょうがなくなると思うのだが。


 考えられるのは、ひとつ。
 お裁きの後、人目のないところで全員斬られるのである。


 えらい話だな。書いてみたら、やっぱり、野暮だった。


 最後に、必殺・金さん返しを伝授しよう。


奉行「オゥ、そんなに会いてえなら会わせてやる。この桜吹雪に見覚えがねえとは言わせねえぜ!」
越前屋「それでもボクはやってない!」


 視聴者の心には、何かすっきりしないものが残るだろう。そのすっきりしないものを大切にして、これからも生きていっていただきたい。

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「今日の嘘八百」


嘘三百六十 「夕鶴」の舞台は、つうが毎年老けていくので、与ひょうは微妙な心持ちになったという。


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