散骨という葬送のやり方があって、火葬した後の骨を、海、空、陸にばらまく。
もっとも、陸にばらまく場合はいろいろ気をつけねばならず、面倒だからといって、夜中、塀越しに隣の家の庭にばーっと撒いちゃう、なんていうのはいかんようだ。ま、そりゃそうだろう。
今、散骨する人がどのくらいいるのかはわからないが、インターネットで検索すると、いろいろな葬儀屋がサービスを提供しているようだ。
仕事になる程度には需要があるのだろう。
散骨する人が出てきたのは、昔からの「家」という考え方が崩れてきて、先祖のお墓に入るのは何だか重苦しくていけない、あるいは、死んでまで夫や妻、舅・姑と同じところにいるなんて勘弁してくれ、と、いろんな理由があるのだと思う。
あるいは、大自然に抱かれて眠る、草木になる、なんていうイメージが快く思えるのかもしれない(トリカブトや食虫植物になる、なんてのはどうなのかね?)。
ま、確かに、陰々滅々とした墓地に入るより、海やなんかにバーッと撒いちゃったほうがすがすがしい感じはする。
もっとも、いろいろとマナーはあるようだ。
例えば、海に散骨する場合は、粉をばらまくのかと思ったら、水溶性の紙袋に入れて投じるのだとか。
舟から骨の粉を撒くと、急に風向きが変わって、「うわ、ぺぺぺぺぺ」なんてことになりかねないからだろう。