テレビに、政治にまつわる討論番組がある。政治家や学者、評論家が出てきて、あれやこれやと討論する。
わたしはあれがあまり好きではない。
NHKがやるものはそれなりに議論の形になるが、民放のものはそもそも議論のていをなしていないものが多い。
まあ、それはある意味、正解で、視聴者を広告主に販売している民放では、どんな結論が出るかはどうでもいい。
モニターの向こう側でわーわー騒ぎが起きて、視聴者がチャンネルを変えないでいてくれれば、まず成功だ。
むしろ、結論が出るのはまずいだろう。
あの手の番組で、始まって5分で全員の納得する結論が出てしまったら、困るはずだ。
「私はそうすべきだと思います」
「私も」
「私も」
「私も」
「私も」
「私も」
「……あ、結論が出ちゃいました。ど、どうしましょうか。えーと、あのー、○○さん、いいネクタイですね」
「え。ああ、これ? イタリアで買いました。あはは」
などと、延々、苦し紛れの世間話を続けなければならない。つまんなくなると、視聴者はチャンネルを変えてしまう。
あの手の番組の問題点は、本来、きちんと議論すべきテーマをわーわー扱ってしまうことだろう。「VTRにまとめてみました」と称する煽りがちの映像と相まって、視聴者に偏見や怪しい意見を植えつけることにもなりかねない。
どうせなら、「演歌のこれから」とか、「初恋は何歳が適正か」とか、どうでもいいような話について、政治家なり学者なりが真面目に議論すれば面白いのに、と思う。