いささか野次馬的興味で、「教育再生会議」の議事録・議事要旨を読んでみた。
これがテレビの討論番組も顔負けで、出席者は自分の思うことをパーパー喋るばかり。資料に基づく議論もほとんどないようである(見るに値する資料が用意されていないのかもしれないが)。
誰かが「教育再生井戸端会議」と呼んでいたけれども、的確な命名だと思う。
野依良治座長や池田守男座長代理は、会合の後半になると毎度、「時間がないので、なるべく2分以内でお願いします」を連発する。
いやさあ、皆さん、会の後に、自分の仕事が控えているのはわかりますが。
ま、しかし、出席者を責めるのは酷だろう。根本は、主催者側の問題だと思う。
議事録を読んでいると、安倍総理、伊吹文科大臣、事務局の間で、会の位置づけについて話が食い違ったりすらしている。
yagianも書いているけれども(id:yagian:20070108:1168253174)、というよりほとんど受け売りなのだけれども、本来なら、まず表面上、教育の何が問題として出てきており、その原因を探るにはどんな調査をする必要があり、調査にはどういうスタッフを集めてどういう段取りで臨むか、ということから始めるべきだろう*1。
それには時間もお金もかかるけれども、「教育は百年の計」などと言うのなら、何年か、かかっても仕方がない。
「百年の計」を、有識者なる人達のにわか勉強による、週2時間程度の話し合いでどうにかしよう、というのは、拙速に過ぎるだろう。
測量と基礎工事を忘れたままビルを建設するようなものである。
まあ、しかし、実際には教育再生会議で決まったこと(何か決まるのかな)は、何ら、法的な力を持つものではない。
会議の報告の中から、安倍総理が気に入ったものをチョイスし、他とのいろんなしがらみの中で法案を作って国会にかける、と、そういう流れのようだ。
「教育再生参考会議」と考えるべきか。わたしが読んだ段階では、拙速すぎて、あんまり参考にしないほうがよさそうな会議である。