たまに見てよくわからないのが、料理番組というやつだ。
作るほうではなくて、どこそこの店の料理が出てくるほう。
料理から湯気がふわ〜っとあがる映像が流れると、スタジオのタレントやら、サクラの観客やらが、「うわ〜」と身も世もない声を挙げる。
恥ずかしくないのだろうか。
また、それを家で見ている馬鹿がいて(あ、おれか)、いったい何なのだ、と思う。
その料理を食えるわけでもないのに。
料理は舌を楽しませる。音楽は耳を楽しませる。
だとすると、あの料理番組というやつは、音楽番組に置き換えるなら、演奏しているミュージシャンの映像だけ見せて、音は聴かせず、タレントや観客が「うわ〜」と言っている状況ではなかろうか。
あるいは、見ることはできるが肝腎の部分は体験できない、欲求不満的に鼻血ブーだ、という点ではポルノに似ている。
だったら、あんまり大っぴらにしないで、隠れて見ろ、と思う。
ま、奥さんなり、旦那なり、親なりの目を盗んで、料理番組をうひうひ見る、というのも変な状況だが。
はなはだしくなると、NHK「きょうの料理」で白目剥いて悶絶したりして。
何だろうか、こういうことを書きたくなる心理というのは。自分でも今イチよくわからない。
なぜか、わたしには、食い物についてアレコレ言うのは意地汚いことである、という刷り込みがある。
だから、レストランで注文を訊かれると、真っ赤になって身悶えしてしまう。ああん。
自分じゃその手の主義じゃないと思ってたんですが、ブシドーのせいですかね、稲造先生。
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「今日の嘘八百」
嘘三百十四 禅寺で一番厳しい修行は、座禅を組みながら料理番組を見る、という行だという。