天草

 昨日、友達のKさんと飲みにいった。


 Kさんは九州・天草の出身で、今は東京でデザイナーと絵描きをしている。


 天草は長崎の先にある島だが、最近はだいぶ便利になったらしい。何年か前に空港ができたので、今はすぐに帰れるのだそうだ。
 飛行機はやっぱり複葉機ですか、と訊いたら、怒られた。


 昔はそうはいかず、長崎から船で渡っていたから、帰省するのも1日がかりだったという。
 船はやっぱり伝馬船ですか、地域によっては今でも丸木舟を使っているって本当ですか、と訊いたら、蹴られた。きっと桶に櫂をつけて使っているに違いない。


 話を聞くと、漁師町が多く、相当、気の荒い土地柄らしい。


 Kさんが高校生のとき、バイクを買った。
 うれしいものだから、島を一周する計画を立てた。


 鼻歌うたいながら走っていて、ある漁師町に入ったら、どこからともなく地元の高校生の集団が現れた。あっという間に囲まれて、崖から突き落とされた。


 そりゃ乱暴だ、とわたしが驚くと、Kさんは、
「でも、おれだって、よそのやつがバイクで入ってきたら、同じことするよ」
 と、平然として言う。


 天草の崖の下には、バイクの残骸と人骨が山になっているらしい。あ、これは嘘。


 夜這いも盛ん(というのか?)な土地柄で、早い男の子は小学校高学年で経験するという。


 日本も広い。

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「今日の嘘八百」


嘘三百十三 天草の暴走族は大漁旗を振りながら走り回るという。


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