ネガティブ大相撲

 などと、真面目なことを書くふりをしながら、わたしが書きたいのはもっとくだらないことなのである。


 相撲の決まり手をネガティブにしたらどうなるか。これである。


 決まり手というのは、基本的に勝ったほうが主語になる。たとえば、「寄り切り」は、「勝った力士が寄り切った」という意味である。


 館内放送は、


「ただいまの決まり手は、寄り切り〜、寄り切って、越光の勝ち〜」


 というふうにこうなる。


 これをポジ、ネガ、反転させるとどうなるか。


「ただいまの決まり手は、寄り切られ〜、寄り切られて、笹錦の負け〜」


 そんな館内放送をされたら、力士は、嫌なものだろう。


「ただいまの決まり手は、はたきこまれ〜、はたきこまれて、笹錦の負け〜」


「ただいまの決まり手は、上手投げられ〜、上手投げられて、笹錦の負け〜」


「ただいまの決まり手は、蹴たぐられ〜、蹴たぐられて、笹錦の負け〜」


 だんだん、相撲を取るのが嫌になってくるに違いない。


「勝ち越し」、「負け越し」という言い方も当然、変わる。
「負かし越し」というのは威勢がいいが、「勝たれ越し」というのは、何やら情けない。廃業を考えたくなるだろう。


 やはり、人間、あまりネガティブに行かないほうがいいようである。


 と、ついネガティブな書き方をしてしまう、いんけんな日本のわたし。
 性根がねじくれちょるけん。名前からして、イナモトやしのう。


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「今日の嘘八百」


嘘二百九十四 今日の人間不快指数は100。