戦後最強のブラックジョーク

 この日記でも何度か書いたが、わたしが思う戦後最強のブラックジョークは、中曽根康弘氏が作った。


 総理大臣時代、広島の原爆病院を訪問した中曽根氏は、被爆の後遺症に苦しむ人々に向かって、言ってのけた。「病は気からと申します」。


 戦後政治の総決算。戦争と政治、被爆者の背負った40年(当時)、それからある種の無責任をぐっと凝縮して投げつけた、もの凄いブラックジョークである。
 歴史的背景と話し手の地位からして、これ以上強烈なブラックジョークは、今後もまず生まれないのではないか。


 結果として、このブラックジョークの強烈さは、通常の精神ではとても受け止められるスケールではなく、人々は怒り出した。


 その原爆を落とした米軍の爆撃機は「エノラ・ゲイ」と言った。エノラ・ゲイとは、機長を務めたティベッツ大佐の母親の、結婚前の名前だそうだ。
 爆弾のコードネームは「リトル・ボーイ」。


 日本で言えば、爆撃機「斎藤よね」が「息子さん」を落とした、といったところか。
 おふくろさん(エノラ・ゲイ)の産んだ息子(ティベッツ大佐、リトル・ボーイ)によって、多くの人が死に至り、生き残った人も苦しんだ、ということになる。


 このブラックジョークも、強烈すぎる。
 エノラ・ゲイにリトル・ボーイ。凄い名前をつけたものだ。


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「今日の嘘八百」


嘘二百四十四 ウィリアム・テルの息子は、その瞬間、10cmほど腰を落とした。