笑い声

 日本語のアイウエオ五十音というのは、なかなかよくできていて、笑い声は、ほぼカ行とハ行に集中している。


カカカカ、キキキキ、クククク、ケケケケ、ココココ
ハハハハ、ヒヒヒヒ、フフフフ、ヘヘヘヘ、ホホホホ


 まあ、「ココココ」とニワトリのように笑う人はあまりいないが。


「アハハハハ」とか、「キッキッキ」、「ヒャヒャヒャヒャ」などのバリエーションはあるが、ほぼカ行、ハ行で笑い声を押さえている。


 後は「シッシッシ」くらいか。
 あまり「タタタタ」、「チチチチ」、「ツツツツ」なんていう笑い方はない。それはもう、南洋で耳にする何かの鳴き声である。


 で、当然だが、それぞれ笑い声のニュアンスは違う。


「カカカカ」、あるいは「カッカッカ」は豪傑笑いである。東野英治郎時代の水戸黄門がこの笑い方だった。
「キキキキ」はちょっと猿っぽい。「クククク」は抑えた笑い。ニヒルな感じ、あるいは人を小馬鹿にした感じもある。


 なぜこんなことを書き出したかというと、次のFLASHムービーを見たからである(音が出るので、会社でサボりながら読んでいる方は注意してください)。


日興コーディアル証券 - 「イチロー俳句・秋」篇


名月に
国債重ね
妻の笑み


 イチロー、その句はどうよ、と思うのである。


 先のカ行、ハ行の笑い声で言えば、名月と国債を重ねている妻の笑い声は、「ヒヒヒヒ」であろう。あるいは、「ケケケケ」か、「フフフフ」の可能性もある。


 いずれにせよ、どうもあまり品のいい笑いではない気がするのだ。


 イチローよ(およびその妻よ)、まずは名月を名月として、楽しめ。
 お月見の席に、国債を持ち出してきて喜んでいるなぞ、あまり趣味のいいことではないぞ。


 第一、お月様に失礼である。


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「今日の嘘八百」


嘘二百二十三 あたくしなんぞ、人生を隣の崖に投げ捨てております。