ストレッチ

 最近、ストレッチやマッサージがエカく気持ちよくてしょうがないのである。


 昔はそんなことはなかった。
 元々、体はやわらかいほうで、まあ、脊椎とやる気のない軟体動物のようなものであるからして、基本的にこう、地べたにへちゃっ、として暮らしていた。


 足を後頭部に回すことができ、猫のように足で頭を掻く、なんて芸当もできた。
 両足を頭の後ろにはめると、このような格好になった。



 まあ、わたしがガーニーマンだから、というせいもあるのだが。


 なお、こんなことができたからといって、人生には何の役にも立たないことを、特にセーショーネンの諸君には言っておきたい。
 股関節が脱臼する恐れもあるので、やめておいたほうがいい(この状態で救急車を呼ぶのは至難のわざであるうえ、救急隊員が来たとき、非常に恥ずかしい)。


 今朝、「まだできるかな?」とベッドの上で試してみたのだが、耳まで足を持ち上げるのがやっとだった。
 あちこちの関節がイテテテとなり、ワタシハイッタイナニヲヤッテオルノデアロウカ、と思った。


 ともかく、体は確実に硬くなっている。
 それも当然で、日によっては十時間も座卓の前で固まっていることもある(異常につまらないギャグを聞いたわけじゃないよ)。
 それでヤコヤコの体を維持しようというのは虫がよすぎる。


 で、ストレッチやマッサージがエカく気持ちがよい、という件だが、これはやはり筋肉が硬くなっているとか、筋繊維が古びているとか、そういうことなのだろう。


 若い頃、マッサージはむしろ苦手だった。
 どうも異常に敏感な体質で、軽くもまれただけで「うおーん、わおおーん」とビリビリ来た。不快に感じられた。


 今も「うおーん、わおおーん」とは感じるのだが、ほぐされる快感である。
 下手すると、「あひひーん」と、はしたなく身悶えしてしまうかもしれない。


 気持チ悪イデスネ。


 しかしね、「あはは。何じゃそりゃ」と笑っていられるのも、若いうちデスヨ。


 チミらも、いずれ、体を伸ばしたり、ほぐしたりが、エカく気持ちよくなるのだ。動物だもの。


 気持ちいいなら結構じゃないか、というご意見もあるかもしれない。
 しかし、気持ちいいということは、反面、普段、それ以上に体が凝る不快感を味わっているということだ。ストレッチやマッサージの快感というのは、それが多少なりとも解消される快感に過ぎない。


 その点では、煙草の快楽に似ている。


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「今日の嘘八百」


嘘百十四 騒音おばさんの判決を前に、女子刑務所は戦々恐々としている。