青い服の人々

 友達の加藤改メMTB(マウンテン・バカ)と話していると、サッカー日本代表の観客席で同じ青い服を着ている、例の人々の話になることがある。


 たいがいはケナして、簀巻きにして、土手から放り投げて、「ザマーミロ!」という流れになる。


 わたしはあの人々、というか、ああいう行動があまり好きではない。
 特に、国外まで出かけて、青い服で埋め尽くしてわーわー喜んでいるのを見ると、何だかなあ、と思う。


 本人達はあまり意識していないだろうが、日本の経済力をカサに着ているようで、あまり品のいいことに見えない。


 まあ、ワールドカップまで行けば土壇場だから構わないけれども、小規模なカップ戦や親善試合にまで出かけて、先方のお座敷を青く染めてしまうのはどうなのか。
 テレビでアナウンサーや解説者が「日本のサポーターは素晴らしいですねえ」などと褒めるけれども、そうは思えない。


 だって、アウェイだぜ。少人数が決死隊として行くならまだしも、大人数でわーわーはないだろ。


 MTBに言わせれば――何しろ昔は蒲田の的場浩二と呼ばれた乱暴な男だから――「あいつら、本当はサッカー好きじゃねえだろ」ということになる。


 わたしは、そこまでは言えない、とは思う。もちろん、サッカーが好きな人は結構多いはずだ。
 しかし、中には「好きなような気になっている」とか、「何かを一生懸命応援している自分が好き」とか、「みんなと一緒のことをしているのが楽しい」という人もいるのではないか。


 この間もそういう話になって、阪神ファンはどうか、先のワールドカップでのアイルランドのおっさん達はどうか、という話になった。


 MTBは一瞬、言葉に詰まり、「いや、あいつらには愛があるから」と言って、逃げた。


 まあ、好意的に見れば、日本ではまだ青い服が馴染んでいない、成熟していない、ということなのかもしれない。
 何しろ、日本に、サッカーのワールドカップとやらは大したものらしい、という見方が広まったのは、たかだか、十数年前である。