漢字


僕の前に道はない
僕の後に道はできる
なぜなら手にはツルハシが
手に馴染んだツルハシが
焼き肉行くなら鶴橋か
公共工事を承って
作る林道
緑の影が
額の汗に映ります
ドカチンドカチンドカラララ
男氏なくして玉の汗をかく
おお、これぞマスラオの
光るは玉の美しさ
ブルブルブルブルブルd−ザー
ガガンとユンボの振るう腕
モッコ担ぎも悲しきや
ドカチンドカチンドカシャババ
まだまだ先は長くてさ
住まいはタコツボ痰のツボ
ボラボケボカスカドカチンドカスカ
ドカベンベンベン、ドカベンベン
カロリー消費のこの高さ
水分補給の大切さ
スポーツ飲料、ドカチンチン
立派な道も
駄目な道も
動かす力だ
ドカチンチン
ドカチン、ドカチン、ドカチンチン
林道これからするならば
僕の前に道はない
僕の後に道はできる
ああ、道との遭遇


 最初の、ひらがなで書いたフリーライティングの文章を、後で漢字などに再変換してみたものだ。


 フリーライティング、というのはわたしが勝手にそう呼んでいるもので、とにかく即興で思いつくフレーズを書き飛ばしていく。
 ミスタイプもそのまま、晒す。


 漢字変換がひとつのネックになっている。
 即興で書きながら漢字変換もちゃんとやっていくと、変換のほうに結構意識が行ってしまって、吐き出していく言葉のほうがおろそかになってしまう。


 かといって、ひらがなだけでやっていくのは、書いているときはいいけれども、後で読みにくい。
 下手すると、行政のよくやる、「いきいきふれあいナントカ」みたいな、ヤーなぬるさも出てしまう。
 カタカナだとヤーなぬるさはあまりないが、カクカクとして、これもまたうまくいかない。


 上でやったように、後で漢字に再変換する、という手もあるけれども、これも書いているほうとしては抵抗がある。
 なぜなら、即興で書き飛ばしているとき、わたしが目にしていたものは、最初の、ひらがなだけのものだからだ。


 漢字仮名交じり文に直すと読みやすいし、意味をくみとりやすいが、勢い、ライブ感、生命力というものが、結構、失われる。即興と、あらかじめできているものの違いだと思う。