TPO

 幽霊は、柳の木の下によくいるらしい。あれも、わからないといえば、わからない。なぜ柳の木の下なのだろう。
 もっとも、幽霊が杉の木の下にいるというのもサマにならないけれども。


 昔、まだ街灯のない時代に、風に流される柳の葉を幽霊と見間違えたのか。それとも、ゆらゆら揺れる柳の葉が幽霊を連想させたのか。


 小野道風がまだ若い頃、川端を歩いていると、柳の葉につかまろうと何度も飛び上がっている幽霊が……なんていうのも、想像するとバカバカしくてよい。


 幽霊の着ているものにも、興味がわく。


 日本の幽霊がもっぱら白装束なのは、たぶん、埋葬されるときに白装束を着させられるからだと思う。


 では、殺されて埋められたりして、きちんと埋葬されなかったら、どうなるのだろう。


 江戸時代なら、それでも着物だからサマになる。しかし、現代は難しい。
 ジーンズをずり下げてキャップをかぶった幽霊とか、キャミソールの幽霊とか、どうも風情に欠ける。まあ、風情を楽しむようなものでもないけれど。
 ピンクのポロシャツの襟を立てて、ルイ・ヴィトンかなんかのセカンドバックを小脇に抱えた幽霊、なんていうのに出くわすと、怖いというより、困ってしまうと思う。


 あと、乙武クンが……まあ、これはやめておこう。


 しかし、これだけ幽霊をネタにすると、マズいかな。幽霊の恨みを買って、とり殺されるかもしれない。そういえば、さっきから、背中がゾクゾクしている。


 二、三日、この日記の更新がなかったら、イナモトは部屋でとり殺され、腐っ


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