家元制度

 家元制度とマルチ商法というのはどう違うのだろうか。


 家元制度側の人は「うちは商売が目的じゃありません!」と言うだろうが、マルチ商法とされる側の人達も、「うちはビジネスという手段を通じて、人々に幸せを広めているんです」とか何とか、そんなことを言うだろう。


 マルチ商法では、ピラミッド構造の組織を通じて商品・サービスを販売するわけだが、芸事を教えて礼金をもらうというのだって、考えようによっては一種のサービスの販売である。


 日本舞踊の名取になるには、随分とお金がかかるんだそうだ。それによって、三味線のお師さんとか、舞踊の周辺にいる人も暮らしが立つわけだが、一部は上にも流れる。


 家元制度では、上から名取(日本舞踊)とか、許状(茶道)とかの資格を与える。マルチ商法もしばしば資格とか地位を与える。


 家元制度の中での地位が上がると、より多くの人に教えることができるようになる。弟子がさらに弟子を持って、間接的な弟子も増える。
 そうすると、束脩だの月謝(なんつーの? その筋では)だのも余計もらえるようになる。


 ま、人間の思いつく仕組みなんざ、今も昔も、東も西も、あんまり変わらないということかもしれない。

席を外し難い状態に置き……

 えーと、念のため書いておくと、いろいろと法的な制限はあるけれども、マルチ商法=違法、というわけではないそうだ。


 Wikipediaで「無限連鎖講」(いわゆるネズミ講マルチ商法との違いは灰色)を見ていたら、こんな問題点が書いてあった。


・商品説明などの際に両脇を会員や社員で固めて席を外し難い状態に置き、長時間引き止める


 誘われた舞踊の会とか、茶席も、なかなか中座しにくいものだ。しかもやけに長い。まわりは関係者でがっちり固められている。


・各会員に半ば強制的に物品を卸して買い取らせる
・商品を巧言を弄して販売させる
・商品の特徴を誇張する


 芸事方面の、いろいろと似通ったシーンを想像して笑ってしまった。
 上記の「物品」「商品」を、「芸」「道具」と読み替えてみるのも、なかなか趣深い。


無限連鎖講 - Wikipedia


 わたしも、いっそ一派を開くかな。


 文章道土石流、なんてどう?

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「今日の嘘八百」


嘘三百八十四 谷亮子は放っておくと、「ババアでも金」とか言い出しそうだ。


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