晴れ男(女)と雨男(女)

 閃くというほどではないが、ふと何かに思い当たることがある。
 昨日も自転車で山手通りを走っていて、ふと「晴れ男というのは、あれは要するにポジティブ思考ではないか」と思い当たった。
 晴れ男(あるいは晴れ女。煩雑なので、以下、晴れ男で)というのは、ご案内の通り、何かイベントがあるときに「おれがいるとたいがい晴れる」と信じている人のことである。実際にその人がいるからといって天の神様が「では、晴れにしてやるか」と考えたり、あるいは高気圧、低気圧、前線がその人の存在によって地球レベルで動きを変えたり、なんてことは考えにくい。確率論から言っても、誰かがいると晴れ、誰かがいると雨、なんてことは長期間のうちに均されるはずである。
 ではなぜ晴れ男が自分は晴れ男だと信じるのかというと、「おれは強運である」という根拠のない自信を天気にも振り向けるからではないかと思う。実際には、彼のイベントが雨のときもあるだろうが、そんなときは自分の存在とは結びつけない。逆に、晴れのときは「おれは晴れ男だ、やっぱり」と自信を高めるのだ。
 こういう人は仕事や人生なんかも基本、いい感じで進めそうだ。「強運である」と信じているから、元気があるし、小さな失敗はさして気にしないし、物事に積極的になれる。
 もっとも、晴れ男が成功するか失敗するかは職業やポジションにもよるのであって、たとえば、旅客機のパイロットが「おれは晴れ男なのだ! わははははは」と台風に元気よく突っ込んでいくのも考えものである。
 逆に雨男は自分をネガティブに捉えている。「あー、天気予報じゃ曇りだったのに、また雨が降ってしまった。これじゃあ、客が集まらないだろうなあ。おれはやっぱり雨男なんだなあ。どうしてこう、おれは運が悪いのだろう。最近、腰が痛いし。上司に恵まれないし。部下の当たりもキツいし。カアちゃん、ブスだし」などと考える。どうもあまり大きな成功をつかめなさそうだ。
 そういえば、成功する経営者には楽天家が多い、と何かで読んだこともある。事業を大きく伸ばす経営者には晴れ男が多いんではないか。知らんけど。
 しからば、雪男はどうなのかというと、よくわからない。ヒマラヤだから雪男がいるんではなくて、雪男がいるからヒマラヤは雪が降るのであろうか? あああ、滅茶苦茶だ!