自転車の罰金について

 おれは自転車乗りで、走っていると、同じく自転車に乗っている人々の「危ないナァ」という行為をよく見かける。
 多いのが、車道をヘルメットなしで走っている人である。少し前まで自転車は歩道を走るのが普通みたいに思われていたから、そのせいもあるのかもしれないが、車道でヘルメットなしは本当に危ない。何しろ、横を数百キロの鉄の塊がビュンビュン走っているのだ。ちょっと接触しただけで一生引きずるような大怪我するか、下手すれば死ぬことだってありえる。しかも、自転車の走る道路の端はデコボコしていたり、駐車しているクルマがあったり、ガードレールから何かが飛び出していたりして(夜、ガードレールに立てかけてあった自転車のハンドルに引っかかって、おれは大転倒したことがある)、フラつきやすい。車道をヘルメットなしで走っている人は危険を甘く見すぎているか、何も考えていないのではないかと思う。
 また、信号無視も非常に多い。おそらく、自転車を歩行者の延長のごとく考えているからだろう(歩行者だって信号無視はいかんわけだが、何となく慣習的に許される気に多くの人がなってしまっている)。自転車に乗ると、自由になった気分になることも関係しているのかもしれない。
 逆走する馬鹿や、スマホを見ながら走っている馬鹿はもちろん、論外のさらに外である。
 正直、ヘルメットかぶらなかったり、信号無視したりする馬鹿が大怪我しても、それは単に本人の危険認識が甘かったせいだから、おれはあまり同情しない。しかし、自転車事故の困ったところは、人を巻き込むところである。歩行者や同じ自転車に致命的な被害を与えることだってあるし、自動車との事故だって、たとえ自転車側が100%悪くても、轢いた側は精神的な重荷を引きずることだろう。
 おれは自由主義が好きなので、なるべく役所(この場合は警察)の仕事は増やさないほうがよいと考えている。しかし、自転車の信号無視や、車道走行時のヘルメット未着用については罰金を科すべきだと思う。まわりが迷惑するからだ。
 今も、自転車の信号無視には3箇月以下の懲役または5万円以下の罰金と定められているが、クルマのように反則金制度がないので、刑事罰の対象となってしまう。もっと安い金額で、刑事罰も何らかの方法で略式したうえで、きちんと罰金をとるほうがよいと思う。違反する側からすれば、3千円くらいだってこまめに徴収されるようになればイヤだから、信号無視や車道でのヘルメット未着用(自転車については今、これは義務化されていない)は減るだろう。今は、取り締まるとなまじ大ごとになるから、現場の警察官も見過ごしてしまっている場合が多いんじゃないかと思う。
 自転車乗りとしては自分で自分の首を絞めかねないことを書いたが、走っていると放埒な行為を目にすることが多すぎる。ええい、ここな不埒どもめら。