わたしの文章作法〜その五

 昨日、「この日記は出たとこ勝負で書いている」と記したけれども、実は後で修正を加えている。


 出たとこ勝負の精神からすれば、ジャンケンでチョキを出した後、パーに切り替えるようなズルである。


 サッカー選手がボールを蹴った後、「あ、今のパス、ナシ、ナシ。も一回、蹴らせて」と頼むことはないし、言い間違った落語家が後で言い直しても、それはあくまで「言い間違った後で言い直した噺」となるに過ぎない。
 文章はライブで見せるものではないからこそ可能な、まあ、一種のゴマカシだ。


 わたしにもう少し度胸があれば、書きっぱなしでポーンと放り出せるだろうに。「二度と書き直さん!」と覚悟を決めれば、別の境地に立てるふうにも思う。


 だが、書きっぱなしでは、どうにも文章のリズムが悪く、テニヲハすら間違っていることがある。基礎技術の不足もあるのだろう。
 なので、文章を書いた後で読み直し、セコセコと修正を入れる。未練がましくも、日記をアップした後で「あやややや、おかしいやん」とか、「こっちのほうが面白いけん」と直すことも多い。


 白状すると、以前に書いた日記を直すことすらある。
「日記」という点では過去の改竄に当たるのだが、幸いにも、直したとて誰も困らないような、どうでもいいことしか書いていない。ウハハハハ、参ったか*1


 即興でダーッと書き、後でチビチビ直す。それがわたしのいつもの手口だ。
 昔から人間の小ささにはかなり自信がある。勢いと体裁の両方をゲットしようという作戦で、つまりは卑怯者なのである。

*1:別に参らなくても構いません。