北村も感動

 ○○時間テレビの類は、テレビ局の学芸会といった印象が強く、ほとんど見ない。
 いちいち計算しているわけではないが、ここ10年で見た時間は、合計して30分になるかならないかくらいだと思う。


 だいたい、「愛は地球を救う」というんなら、まずはおれを救ってみせろ、と言いたい。募金の半分でもこっちに回してくれたら、許してやる。


 今日はいつもに増して高飛車である。参ったか。参りませんでしたか。それはどうも、ごめんなさい。


 まあ、見なくても、最近、○○時間テレビの類でマラソンが流行っているらしいことくらいは知っている。
 生きていると、そういう余計な情報も、いろいろと耳に入ってくるのだ。


 今年は「行列のできる法律相談所」(行列をサバけないようなら、人を増やしたらどうかと思うが)の丸山弁護士が100kmマラソンしたのだそうだ。


 生きているとね、そういうこともなぜか知ってしまうのだ。


 こういうのはどんどんエスカレートしていく。このまま放っておくと、そのうち、「生き方上手」の日野原重明先生にでもマラソンさせてしまいそうな勢いだが、まあ、いいや。


 で、昨日の新聞のテレビ欄を見ると、○○時間テレビの直後に「行列のできる法律相談所」の放送があり、こんな宣伝文句が書いてある。


24時間マラソン直後の丸山が緊急生出演…過酷な練習の秘話に北村も感動


 時間関係を整理しておこう。


 通常、わたしの家に新聞が届くのは朝の5時半頃だ。
 新聞の印刷と配送システムについては何も知らないが、おそらくは夜中の12時以降に印刷されるのだと思う。
 当然、その前に印刷に回す原稿がレイアウトされていなければならない。文章はその時点でできあがっている必要がある。


 その時点で、すでに丸山氏が生出演すると決まっている。これはいい。しかし、「緊急」というのはどういうことなのだろう。前の晩にはすでに決まっている「緊急」とは。


 さらに、北村氏の立場になってみる。
 朝、起きる。新聞を読む。自分が出演する番組の欄を見ると、「過酷な練習の秘話に北村も感動」と書いてある。


「過酷な練習に秘話があったのか」と北村氏は思うだろう。そうして、「おれはその秘話に感動するのか」、と。


 野暮なこと言うな、なんて言うなよ。野暮は粋(すい)や洗練の反対だ。
 オッサンに無理矢理100km走らせて、あらかじめ「緊急生出演」を決めておく。そのどこに粋や洗練があるというのだ。


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