ジャマイカには何があるのか

 おれの世代だと、ジャマイカというとレゲエをまず思い浮かべる。ボブ・マーリーに代表されるクラシカルなレゲエから、レゲエとヒップホップが異種混合したダンスホールスタイルへと進化する過程を、若い頃に見て(聞いて)いた。音楽で世界中に影響を与えた国である。音楽と渾然一体となったファッションも独特で、ラスタのスタイルは世界中に広がったし、ドレッドヘアもジャマイカで始まった。

 世間一般では陸上短距離のウサイン・ボルトが有名だろう。北京オリンピックの100mで9秒69を出したのは衝撃だった。その後、9秒58というさらに衝撃的な記録を出した。ベン・ジョンソンもジャマイカ出身だし(カナダ国籍)、マリーン・オッティスロベニア国籍)もそうだ。

 たまたまウィキペディアでジャマイカの項を見てみると、人口はわずか296万人だという。アルメニアアルバニアカタールと同じくらいだ。小国でありながら、世界的に有名な人物を輩出している。日本でいうなら、茨城県くらいの人口で、言うなれば茨城からボブ・マーリージミー・クリフとバーニング・スピアとウサイン・ボルトベン・ジョンソンパトリック・ユーイングが出た、みたいなことである。ちなみに茨城県深作欣二磯山さやかとマッハ桜井速人を送り出している。

 音楽についていうと、アメリカの影響を受けながらある種独自の文化的煮込みが起きた、ということかもしれない。スポーツは国をあげての教育政策、育成システムへの投資があるのだろうが、それにしても優秀である。

 ジャマイカには何があるのだろうか。