人間だもの

 相田みつをという詩人というか、書家というか、そういう人がいて、人についての「いい言葉」をやたらと書きまくった。結構好きな人は多いらしい。

 おれは馬鹿者なので、あんまり関係ないところで生きてきたが、いくつかの作品(というのか?)は知っている。有名なのは、「しあわせはいつもじぶんのこころがきめる」というもので、そのほかにもまあいろいろある。

 「なんたらかんたらなんたらかんたら 人間だもの」というのもあって、今とっさに調べると、「つまづいたっていいじゃないか 人間だもの」だそうだ。

 ふとこの間、最後の「人間だもの」をつければ、たいがいのことは許してもらえるんじゃないかと思い当たった。

「遅刻しました 人間だもの」

「からみ酒しました 人間だもの」

「寝小便しました 人間だもの」

 とにかく、人間なんだから失敗してもしょうがない、とまあ、逃げ口上としては非常に使いやすい。

 とはいっても、さすがに、

「使い込みしました 人間だもの」

「半殺しにしました 人間だもの」

 となると、なかなか許してもらえそうにない。人間だもの、で許してもらえるラインはどの辺にあるのだろうか。