デブと代謝

 おれはこの春くらいからどんどんデブになっていて、半径10メートル以内ではなかなかの話題である。

 なぜデブになるかというと、割と単純な理屈で:

 摂取エネルギー − 消費エネルギー = デブ化エネルギー

 ということである。摂取エネルギーが多くて消費エネルギーが少ないと、デブになるのだ。

 摂取エネルギーについて言うと、以前からそう変わらないんじゃないかと思う。酒を飲むとやたらと物を食ってしまう悪い癖があるが、昔からそうで、今に始まったことではない。

 消費エネルギーについて言うと、運動量はそう変わらないだろう。問題は代謝のほうだ。代謝とは、簡単に言うと、細胞のひとつひとつがエネルギーをどのくらい消費するかで、おれも五十を過ぎて、最近、おそらく滅法落ちている。年をとれば代謝の作用が落ちるのは自然の法則であって、四門出遊の際にお釈迦様が悟った人生の摂理である。ウソである。

 代謝が落ちるというと「ダメになっている」という見方になりがちだが、おれはちょっとばかり疑問を持っている。

 代謝が落ちるというのはむしろ無駄を省いているということではないか? 現におれは生きているのであり、若い者のように無駄に食ってエネルギーを放出しているわけではない。むしろエネルギー効率がよくなっていると言えまいか?? EUのエネルギー政策に近いことをおれは個人で実行しているのではないか??? とまあ、そのように思うわけである。

 であるからして、おれがデブになりつつあるのはエネルギーを個人的に蓄積する技術を身につけ、実践しつつあるのである。・・・と主張したいのだが、「だったら、摂取エネルギーを減らせ」、というご意見にはムムムというほかなく、おそらくデブには正義がない。残念である。

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おそらく摂取エネルギーの少ない人。