桂吉朝の「落語研究会」のDVDセットを買って、ちびちび見ている。
- 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック
- 発売日: 2011/11/09
- メディア: DVD
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桂吉朝は米朝の弟子で、2005年に五十代で亡くなった。中島らものリリパットアーミーでの活躍を知る人も多いだろう。落語のほうは正統派という言葉がぴったりで、米朝も自分の芸を受け継ぐ者と期待していて、その死を非常に惜しんだらしい。
聞いていて(見ていて)、本当に素晴らしい。何が素晴らしいって、そのほどのよさである。「ほどのよさ」というとちょぼちょぼ、そこそこという印象に聞こえるかもしれないが、そうではなく、しつこさのない、さらりとしたよさがいいのだ。「上方の江戸前」と誰かが言っていたが、なるほど、言い得て妙である。
おれは東京に随分と長く住んでいるが、地方出身者であり、江戸前がどうのなんて我がこととして言える立場ではない。しかし、笑いは江戸前というか、東京のさらりとしたものが好みだ。枝雀のようなこれでもかこれでもかと塗り固める笑いはくどく感じられ、ちょっと苦手である。その点、吉朝は見事にコントロールされていて、爆笑をとってもしつこくなる前にさっと引く感じで、心にくいナァ、と思う。
唄も歌舞伎の口跡も器用にこなす人で、そうした芸のちょっとした端々を聞いているだけでも楽しい。この人は芸の神様に祝福されていたんだなあと思う。志ん朝と同じで、聞く人を幸せにする噺家である。
上方落語はどうも、という人は一度聞いてみていただきたい。