英語社内公用語化

 少し前に楽天が英語を社内の公用語にすると発表して話題になった。一企業の話であるし、おれは楽天の株主でも楽天に融資しているわけでもないから、したいようにすればいいじゃないかと思う。

 ましかし、野次馬的には、どういう具合になるのか興味がないでもない。finalventさんが、英語を社内公用語とするというのは社内文書を全て英語化するということだ、と言っていたが、確かにこれは結構なコストがかかりそうだ。すでにあるものを英語化するのも大変だが、新しく文書を作る際も後から英語を学んだ口の人には時間がかかりそうである。ボキャブラリーやニュアンス理解の不足から来る文書のレベル低下も起きるかもしれない。

 社内ミーティングはどんな具合になるのだろうか。日本人社員のみが参加した場合は、

「ウェル、レッツ・スタート・ザ・ミーティング。ファースト、アバウト・ザ・ディーリング・ウィズ、あー、クレイマーってクレイマーでいいの、英語でも、あ、イン・イングリッシュでも。え、コンプレイナー? あ、サンキュー。えー、ザ・ディーリング・ウィズ・コンプレイナーズ。イズ・ゼア・サムワン・フォー・ディス?(えーと、ミーティングを始めましょう。最初にクレイマー、あー、クレイマーってクレイマーでいいの、英語でも。え、コンプレイナー? あ、ありがとう。えー、クレイマーへの対処について。誰かこれについて?)」
「……」
「……」
「……」
「……」

 などと全員、下を向いたり、腕を組んで天井を見上げたりして、閑かさや壁にしみ入るエアコンの音ということになるかもしれない。

 社員の歓迎会や送別会はどうだろう。「酒場で馬が集まって飲んでると、犬が入ってきて『ビールを一杯』。馬達はひじをつつき合って、『ヘヘ、犬がしゃべったぜ』」などと部長のお得意のパーティー・ジョークが飛び出したりするのだろうか(ま、歓迎会や送別会は社内じゃないけど)。

 仕事で楽天のオフィスに行くとどうなるのだろう。受付まで高橋課長(45歳)が出迎えてくれて、「ハ〜イ、ヨシ-さん、ハゥワー・ユー・ドゥ〜イン? イト・ワズ・ジョ〜リ〜・グゥー・アット・ザ・ナイト・イン・アカプルコ(やあ、ヨシさん、元気だった? アカプルコの夜は楽しかったね)」などと声をかけてくるのか。

 あ、これでは英語社内公用語化というより、社内アメリカ人化か。