サムライ・サムライ・サムライ・サムライ

 日本人の男が国際舞台で戦うとなると、決まって「サムライ」という言葉が持ち出される。「サムライ・ジャパン」とか何とか。まあ、悪くはないが、いささか紋切り型で、食傷した感がないでもない。すぐにサムライを気取るのには、チャンバラごっこでヒーローを気取る子どもっぽさも感じられる。

 百姓ジャパンとか、漁師ジャパン、マタギ・ジャパン、盗っ人ジャパン、茶店のおやじジャパンなんていうのはない。お公家さまジャパンもない。「まろでおじゃる〜!」などと叫びながら走り回り、三振したり、シュートを外したりするたびに一首詠んで涙にかき暮れるのも、雅でいいように思うのだが。

 まあ、日本の歴史上、戦闘者の代表格といえば武士であるし、欧米でも言葉として認知されているのは(たぶん、それが重要なのだ。褒めてもらった気になるのだろう)「サムライ」だからしょうがないのだが。僧兵ジャパンではマニアックに過ぎるし、野伏りジャパン、落ち武者狩りジャパンではどこか引け目がつきまとう。

 防人(さきもり)ジャパンなんていうのはどうだろう。地味である。