実用的な国語教育の不足

 もっとも、文を論理的に把握することに、現在の国語教育がどれだけ力を入れているかは疑問だ。中学校の国語教科書を読んだ限りでは、作文教育の比率は少ないようだし、文法の説明も少ない。読点の打ち方すらあいまいな教え方をしている(きちんと教えると、教科書に載っている文章の多くがNGになってしまうのかもしれない)。

 わたしの記憶をたどると、学校時代に、英語はともかく、日本語の文法はさほど習わなかった。文の組み立て方についてもあまり教わった覚えがない。

 その結果として、我々は今、仕事のうえで、読みにくくわかりにくい文章を書き、読まされ、そのために時間と労力を相当にロスしているのではないか。そうして、現在の国語教科書を読んだ限りでは、将来の仕事の文章(今の子どもたちが将来書く文章)も、あまり改善されない気がする。