松元ヒロさんは素晴らしい

 松元ヒロのソロ・ライブに行った。わたしが今、一番面白いと思う芸人である。


 アメリカで言う、スタンダップ・コメディアン、ボードビリアンという言葉がふさわしい。


 日本なら、漫談家兼パントマイマーということになるのかもしれない。
 矛盾しているが、本人曰く、「わたし、最初はパントマイムをやっていたんですが、あるとき、話したほうが早い、と気づいたんですねえ」だそうだ。実際、パントマイムやりながら、しゃべりまくるのである。


 下記は、公認ファンサイト。


→ ヒロポンのインターネット大作戦


 ライブは約2時間、松元ヒロひとりっきり。でもって、約2時間、会場をドッカン、ドッカン沸かせ続けた。凄え。
 今年行ったなかで、一番満足度の高い舞台だった。堪能した。


「松元ヒロ」なんて何だかよそよそしいな。知り合いでも何でもないけど、ヒロさんと呼びたくなる。そう呼ばせていただきます。


 ヒロさん、腰が低い。立ち姿がカッコいい。しゃべりがいい。ウイットが素晴らしい。客を読むのがうまい。客をつかむのはもっとうまい。サービス精神が豊富だ。皮肉は強烈だが、人徳なのか計算した芸なのか、イヤな気持ちにさせない。


 社会風刺も多い。以前はザ・ニュースペーパーにいたのだそうだ。


 立ち位置は左寄りだが(「わたし、組合から呼ばれることが多いもんですから」)、庶民を盾にとるようなイヤラシサがない。


憲法クン」というネタがある。
 ヒロさんが日本国憲法に扮して(憲法クンは61歳のオッサンなのである)、語る。
 最後に日本国憲法前文を読み上げる。これがカッチョいいのだ。ちょっと感動しました。


 何だか朝日新聞が気に入りそうな存在なのだが、ヤメテクレヨ、と思う。投書欄に載る川柳なんかと一緒にスンナヨナ。


 社会風刺をするから偉いんじゃない。社会風刺で笑わせられる芸の力が偉いのだ、ということが、ヒロさんを見ているとわかる。


 テレビにはあんまり出ないらしい。


 近くでライブがあったら、ぜひ見ていただきたい。


 一方で、あんまり人気が高くなりすぎて、チケットが取れない、なんてことになってほしくないな、とも思う。