詐欺というのは随分、昔からあるのだろうと思う。
楽して食いたい、という気持ちは、多くの人にあるだろう。人類最古の職業が、春の大売り出しだとすれば、詐欺はその次か、その次の次くらいに生まれたのではないか。
中には、化粧を落とした顔を目にした瞬間、「これは詐欺ではないか」と思うケースもある(らしい)のだが、そういうのは置いておく。
詐欺というのは古くからあるだけに、いろんな試みがなされ、あるものは成功し、あるものは失敗して、その経験が詐欺業界の人々に蓄積されて、今日に至るのだろう。
結婚詐欺や、架空の投資話の詐欺なんていうのは、わたしの子どもの頃もよく聞いた。
あるいは、「この方は実はやんごとなき家柄のお方で」というパターンもあって、さすがに今の時代、廃れたかと思っていたら、数年前にナントカの宮が登場して、結構な人達が騙された。
たぶん、それらの複合技もあるのだと思う。
よくわからないのが、振り込め詐欺である。
最初は「おれ、おれ。お金、振り込んで」という単純な手口だったらしい。
そのうち、だんだんと手が込んできて、複数人で事故や事件の状況を作り、信じ込ませて、お金を振り込ませる、なんていうふうに発展してきたようだ。
パターンはいろいろなんだろうが、基本は同じで、身内が困っている。どこそこにお金を振り込め、ということなのだと思う。
あの手口、最近まで誰も思いつかなかったのだろうか。
電話と、振り込む手段さえあればできるのだから、昔からあってもおかしくないと思うのだが。
あるいは、手紙や為替を使えば、もっと古い時代だってできたかもしれない。
ここに来て、急にブレイクスルーしたのはなぜなのだろう。
もしかしたら、オレオレ詐欺として始まった頃、他の詐欺師達は「そんな簡単な手があったとは!」と驚いたかもしれない。
身を賭して当たり屋をやっていた人達なんて、「えー、そんなんでいいのかよー」と、自分のやっていることが馬鹿馬鹿しくなったんではないか。
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「今日の嘘八百」
嘘五百四十四 詐欺業界では、コロンブスの卵的発想だったとか。