ぶっ殺してやりたいお詫びとお願い

 世の中に嫌いなものはいろいろあって、このイナモトヨシノリ、人間の小ささにはいささかの自信がある。


 その中のひとつに、語尾・文末を伸ばす女、というのがある。「〜なんですぅ」という例のアレだ。
 本人は意識しているのかいないのか、甘ったれていて、虫酸が走る。


 男にはああいう話し方をするやつが滅多にいなくて、やるのはもっぱら女だ。どうしてだかはわからない。


 例外的に、サザエさんのタラちゃんがあの話し方をする。
 タラちゃんを見るとぶっ殺してやりたい、と感じる人が意外に多いのは、そのせいではないか(わたしなぞ、ゴルゴを雇ってもいいと考えているくらいだ)。


 ま、しかし、ただ腹を立てているのも芸のない話なので、逆に利用する方法を考えた。


 手口は簡単。文章の語尾・文末を伸ばす。これだけで、物事は滅茶苦茶になるのだ。
 名付けて、「忍法・語尾と文末を伸ばしてメタメタの術ぅ」。いささかだらしないが、勘弁してつかあさい。略すなら、忍法・ゴビメタの術ぅだ。


 何をメタメタにしてやってもよいのだが(不用意に近づくなよ、今のおれに)、なるべく真面目くさったものがよいので、新聞の、「お詫びとお願い」広告を血祭りにあげることにした。


 お詫びと商品回収のお知らせ


お客様各位
 この度左記店舗において、賞味期限切れの賞品を数個販売した可能性があることが判明いたしましたぁ。
 安全を期する為に至急商品を自主回収いたしますのでぇ、お客様のお手元に左記の回収対象商品がございましたらぁ、恐れ入りますがぁ、商品とお買上レシートまたはパッケージを左記まで料金着払いにてお送り頂きますようお願い申し上げますぅ。
 お客様にはご迷惑をお掛けいたしますことを深くお詫び申し上げますぅ。今後弊社ではより一層の品質管理強化に努めてまいりますのでぇ、何卒ご理解とご協力の程お願い申し上げますぅ。


 平成十九年三月十六日
   株式会社○○○○ リテール事業部ぅ


(中略)


 ※ホームページにて商品写真を掲載しておりますぅ。
  http://xxxxxxxx.co.jp/


 ふっふっふ。これで株式会社○○○○はメタメタである。しかも、自分が今、やられたことにすら気づいていまい。
 忍びの術もここまで来れば、芸術である。


 語尾・文末を伸ばすだけ。
 非常に安易に、物事を引きずり下ろす暗いヨロコビに浸れるので、ミナサンもぜひ一度、お試しあれ。

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「今日の嘘八百」


嘘三百八十一 ダイエットという考え方そのものが現代病である。


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