了見〜その1

 最近、学会方面で(公明党関係のほうではない)生物名を改称する動きがあるようだ。


 例えば、日本魚類学会は、「メクラウナギ」という名前を変えるという。わたしはまた頭に「ド」の字でもつけるのかと思ったら、「ホソヌタウナギ」だそうで、ふーん。
 悪くはないが、あまり覚えてもらえなさそうではある。


 差別用語の問題というのは一種、麻薬的なところがあって、一度、気になり出すと、とことん気になってしまう、ということがある。
 良識、人目というのが、なかなか正体のつかめないものだからかもしれない。


 昨日の朝日新聞夕刊「記者席」欄にこんな記事があった。


 アホウドリ研究者の長谷川博・東邦大教授が「アホウドリ」を「オキノタユウ」と改名したらどうか、と主張している。


 アホウドリは地上ではよちよち歩きしかできず、簡単に捕まってしまうところから、その名がついた。
 伊豆諸島では、明治期に羽毛目当てに数百万羽が殺され、絶滅寸前になったという。


 以下、「記者席」欄から引用。


長谷川博・東邦大教授は、講演会で子どもたちから名前の由来をよく聞かれるという。「いきさつを話すと子どもたちは本当に悲しそうな顔になります」


 ははあ。


 しかし、そうであるならば、なおさら改名しないほうがいいんじゃなかろうか。


アホウドリ」。印象の強い名前だ。
 なぜそんな名前がついたか、と、興味を持つ人も多いだろう。


 でもって、ちょっと調べれば、アホウドリの特徴も、かつて絶滅の危機にさらされたこともわかる。


「オキノタユウ」という名前はなかなか風流でいいけれども、これでは、人々は名前の由来に興味を持たないだろう。


 アホウドリの悲しい歴史を残すには、「アホウドリ」という名前がよいと思う。
 ま、あくまで人間側の都合の話をしてるんだけどね。

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「今日の嘘八百」


嘘三百六十七 おれも簡単に捕まるから、アホウヨシノリだ。明治期には数百万匹、殺された。


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