恋のイメージトレーニング

 わたしは経験豊富というわけではないけれども、恋愛方面のイメージトレーニングはしくじる場合が多いようだ。


 ああいうサカっているときは理性が引っ込んでいるから、あれこれ夢想しやすい。自分に都合のいいように相手の行動を考えたりして、ハタから見るとバカダネー、と言うほかない状態に陥ったりする。


 落語の「湯屋番」の若旦那みたいなもので、番台に座っていると粋な年増の姐さんに見初められ、家でごちそうになって杯のやりとりしているうちに夕立がザーッ、雷がドーン、女が目を回して介抱しようと杯で水を飲ませようとしたら「ううん、口で」なんて凄いことを言うもんだから、うんもう、あはん、どうしよう。
 などと、空想が空想を呼ぶ。古傷が痛みます。