額に汗して働く

 コードジョーホーカシャカイ、と言うんだったか、こういう世の中になると、働き方もいろいろなようである。


 昔ながらの肉体労働が必要な仕事も、もちろん、ある(人類最古の職業とかさ)。
 一方で、頭脳労働に就く人も多い。毎日、呆れるほどたくさん来るスパムメールも、中には仕事としてやっている人がいるのだろう。知らんけど。


「額に汗して働く」ことは、古来、尊いとされてきた。


 しかし、我が身を振り返ると、さて、どうなのかな、と思うのである。


 わたしの仕事は、広告関連のものについて言えば、企業に「あなたの言いたいことは実はこういうことではないか」とか、「こんなふうに言ったら獲物(みなさんのことだ。申し訳ない)は食いつきますよ」と、言うことだ。


 そこで企業が「おお、ういやつじゃ。青差し十貫文の褒美を遣わす」と来ればこっちのものだが、そううまくいくとは限らない。


 さっぱり先方の反応がなかったり、そもそもこちらが向こうのほしがっているものを勘違いしたりしていることもある。


 そんなときは、ミーティングをしながら、冷や汗をかく。
 まさに「額に汗して働いている」状態なのだが、はて、これ、尊いことなのだろうか。


 逆に、清貧イメージを好む人達(そういう人に限って、案外、年金で悠々自適だったりするのだけれども)に受けが悪いのが、「濡れ手に粟」というやつだ。


 しかしねえ、アナタ。確かに濡れた手に粟粒はつきやすい。でも、それで空腹を埋めるだけ集めるのも、結構、大変じゃなかろうか。下手すると、濡れ手で、額に汗して勤勉に集めなければならない。


 しかも――贅沢な時代に生きていることは認めるが――粟だよ。


 わたしなら、乾いた両手で、コシヒカリをすくいたい。そっちのほうが楽だし、食ったらうまい。


 とまあ、何だか、ひねくれた中学生の屁理屈みたいなことを書いたが、実は中学生の頃からあんま精神的に成長してないのよね。ソーリー、ソーリー、タケシタ・ソーリー。


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「今日の嘘八百」


嘘百十二 研究社は、実はあまり研究をしていない。