世の中には、目にしたら困るシーンというのがいろいろあるんじゃないか、とふと思った。
例えば、こんなのだ。
商店街で割引券を使う村上 龍
なぜ困るのだ、と訊かれても、困る。そういうふうに感じるから、としか言いようがない。
いや、突き詰めれば理由を説明できるのかもしれないが、それも野暮ったいし、だいいち、面倒くさい。
ハイ。誠意というものに欠けると、よく言われます。
同じ「ムラカミつながり」では、こんなのもある。
大名舟盛りに舌鼓を打つ村上春樹
あるいは、こんなのも。
パチンコで大当たりして、ピコピコ鳴らしている村上春樹
村上春樹は、小説を読む限り(そんなにたくさん読んでいないけど)、自分の行動にきちんとした型を持っているタイプのようなので、この類のものはたくさんつくれそうだ。
ガッと一気に時代を遡る。
会議で居眠りする森 鴎外
実際はどうだったのだろう。居眠りしたことくらいあったのだろうか。
しかし、たとえ、(不覚にも)居眠りしたとしても、背筋をピンと伸ばしていそうだ、鴎外は。
椅子の背からずり落ちて、鼻提灯を出しながらいぎたなく居眠りする森 鴎外、というのは、どうもしっくり来ない。
漱石先生でも考えてみようかと思ったのだが、案外、出てこない。少なくとも、今まで挙げてきた例は、全てクリアしそうだ。
漱石先生は、神経質なのに、懐が深い。
現代の若手作家でやってみようと思ったのだけれども、誰のことも知らないことに、ハタと気づいた。
そういえば、たぶん、30代以下の人の小説を、わたしはほとんど読んでいない。
困るといえば、こんなシーンも困る。
プールでバタフライするみうらじゅん
みうらじゅんには、健康に対してアクティブになってもらいたくない(知り合いでもなんでもないけど)。せいぜい、何かの液を飲むくらいの、パッシブな態度でいてもらいたいと思う。
まあ、あの人は、放っておいても、アクティブにはならないだろうけど。そうして、健康になんて関心がないのに、九十近くまで生きてしまいそうだけれども。
そういえば、さすがの漱石先生も、これならイケるな。
プールでバタフライする漱石先生