国体

 私は行政のやたらとやる、ひらがな表記が嫌いだ。「いきいきふれあいナントカ」の類のことである。


 もう少し突き詰めると、「イメージよく」を狙って浅い言葉を選び、「親しみやすく」というのでひらがなにしてしまう、工夫が足りなくて安直なところが、たぶん、嫌なのだと思う。


 ひらがなにしたからといって、大して親しみは湧かない。親しみやすさと幼稚さを混同していると思う。
 また、浅い言葉を選ぶ背景には、「当たり障りのないように」という腰の引け方も見える。


 その点、以前、話題になった「南セントレア市」は思い切った手に出たものだと思うが、いかんせん、センスが悪すぎた。


 行政のゆるゆる、浅い言葉選びが如実に表れる大会がある。国体だ。


国民体育大会」という言い回しも、なんだか、戦前みたいでどうかと思うが、今日のところは置いておく。首を洗って待っておれ。


 国体の大会名には、例えば「神奈川国体」のように開催地の県名が入る。しかし、いつの頃からか、「かながわ・ゆめ国体」(平成10年)のように、ダサい別名も称するようになった。


 国体の歴史を見ると、昭和36年には秋田県で「明るい国体」というのが開かれている。これが最初かもしれない。もっとも、これは名称なのか、それともテーマなのか、はっきりしないが。


 明らかに別称と思われるものがついたのは、昭和43年の福井県の「親切国体」だ。福井県の人達が親切にしたのだろう。


 以下、目についた名称を並べる。右につけた「Boo!」は私のブーイング度を意味する。何もないのは許容範囲、「Boo!」が3つで最低点だ。


昭和44年 長崎県「創造国体」
昭和46年 和歌山県黒潮国体」
昭和47年 鹿児島県「太陽国体」
昭和48年 沖縄県「若夏国体」
昭和49年 茨城県「水と緑のまごころ国体」 Boo! Boo! Boo! 意味不明だ
昭和52年 青森県「あすなろ国体」
昭和53年 長野県「やまびこ国体」 Boo!
昭和54年 宮崎県「日本のふるさと宮崎国体」 Boo! Boo! 神話から持ってきたのかな。政教分離に反しないのか
昭和57年 島根県くにびき国体」 Boo! Boo! 宮崎と同
昭和60年 鳥取県「わかとり国体」 Boo! 間に「もも肉」でも入れたら面白かったのに
平成元年 北海道「はまなす国体」
平成2年 福岡県「とびうめ国体」
平成6年 愛知県「わかしゃち国体」 Boo! 愛知はどうしてこう「しゃち」にこだわるのか?
平成7年 福島県「ふくしま国体」 Boo! Boo! そのくらい読めます
平成8年 広島県「ひろしま国体」 Boo! Boo! だから、読めるって
平成10年 神奈川県「かながわ・ゆめ国体」 Boo! Boo! Boo! 大馬鹿者め!
平成11年 熊本県「くまもと未来国体」 Boo! Boo! 未来をひらがなにしなかったので、Boo!を一個マケとく
平成12年 富山県「2000年とやま国体」 だーかーらー、読めるんだってば
平成13年 宮城県「新世紀・みやぎ国体」 Boo! 宮城や国体と新世紀に何か関係あるのか?
平成15年 静岡県「NEW!!わかふじ国体」 Boo! Boo! Boo! スローガンは「“がんばる”が好き」だそうだ。恥の上塗り
平成16年 埼玉県「彩の国まごころ国体」 Boo! Boo! Boo! こんなどうでもいい言葉、どういう経緯で選ぶのだろうか。
平成17年 岡山県「晴れの国おかやま国体」 Boo! 何を言いたいのか?


 国体の開催地は少なくとも平成24年岐阜県まで決まっているらしい。
 これだけずーっと続くと、いい加減、マンネリかもしれない。毎年、今イチ盛り上がらないし。


 そこらへんの「もうそろそろ、いいんじゃないか?」という意識は行政側にもあるらしく、平成19年にはこんな投げ遣りな国体が開催される


平成19年 秋田県「あきた国体」


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