ライブドアとフジテレビのニッポン放送株買収合戦についての報道を見たり、読んだりすると、ニュースショーや新聞、男性週刊誌はホント、バトルが好きだな、と思う。
そして、おそらく、それは人々の心の反映なのだろう。
昨年のプロ野球再編騒動しかり、しばらく前の政界再編期しかり、野村沙知代騒動しかり(結局、あれは何についての騒動だったのだろう。未だによくわからない。解決したのだろうか?)。
私は、こういう騒ぎのとき、騒ぎそれ自体にはあまり関心が向かわず、それを報道する人々とか、論評する人々とか、取り上げられ方、市井の人々のご意見・ご感想のほうに興味が行く。観察していると、そっちのほうが面白いのだ。
今回の株買収合戦については、やはり、堀江社長のキャラクターが一番のポイントだろう。いかにも憎まれっ子世にはばかるという感じで、よい。あのアブラギッシュな顔も、野心やジョーショーシコーというものを感じさせる。
あれが、たとえば、Don Doko Donの山口智充の相方のような顔立ちでは、ここまで盛り上がらなかったんじゃないか。
対決する側のフジテレビの顔、日枝会長のキャラクターが今ひとつ中途半端なのが、残念ではある。
まあ、いかにも既得権益的、企業官僚的な感じで、これはこれでいいのかもしれない。
アメリカの投資会社が絡むのも、何かこう、クロフネ的心理をくすぐるし、村上ファンドというものの行動が謎めいていて、またよい。受ける要素が揃っている。
ストーリーとしては山崎豊子チックなところもあるけれど、ちょっと堀江社長のキャラクターが氏の作品にしてはラフすぎるかな(別に氏の作品じゃないけれど)。
堀江社長のあだ名、ホリエモンも、エビジョンイル、エビ様に続く、居酒屋的オヤジ・センスに溢れていて、実にまあ、トホホ的である。安いおでんに入っているチクワのような、ぬるいユーモア。
しかし、だ。私が今回の騒動で一番感心したのは、女性週刊誌「女性自身」の見出しである。
ホリエモン(32)離婚妻(29歳)は雪国でパート 「時給620円」のシングルマザー
さすが、女性自身。そう来たか。メディアとしての態度の一貫性というものが感じられる。パチパチ。
「雪国でパート」ってところがいいね。これが「南国でバイト」じゃあ、のんきそうで、何だかうまくない。