あの世での年齢

 人間というのは年齢によって変わっていくもので、もちろん、見た目もしわくちゃ、白髪、ハゲ、デブ、ヤセ、と変わるが、性格も変わっていく。三つ子の魂百まで、というが、本当に三つ子の魂が百であったら、オーケストラの演奏会で会場の全員が「ウンコ、チッコ、バヒューン!」などと叫びながらそこらじゅうを走り回り、ついでにオーケストラの全員までが「たんたん、たぬきの〜♪」などと唄いながらそこらへんをスキップしてまわるので、これは大変である。

 人間が変わっていくものだとして、おれがいつも気になるのは、あの世に行ったとき、何歳なのか、という問題だ。いや、それは魂なのだから年齢はないのですよ、という意見に対しては、さっきの三つ子の魂問題が出てきて厄介だ。あの世でウンコ、チッコ、バヒューン!、たんたん、たぬきの〜♪ではいかにもまずい。

 では亡くなったときそのままだとそれはそれで問題で、特に高齢化が進んでいる現代ではあの世も年寄りが増えてることになる。ジジババ天国、というのはそれはそれで結構だけれども、若い者が少数派のあの世というのはちょっとさみしい気もする。

 おれにとって身近な問題として、親族の問題がある。おれが今死んだら五十二歳だが、戦争で亡くなった祖父はあの世で三十代でいる。悪いが、おれにとってはワカゾーだ。どう接したらいいのか。

 もっと問題なのは祖父の妻、つまりおれの祖母で、九十何歳で亡くなった。あの世にいる祖父に「あなたの妻ですー」と天寿を全うした祖母が会いに行ったら、祖父としてはどう応対すればいいのか。

 あの世はとかくままならぬ。