クラクションで世界観は変わる

 街を歩くと、東京は随分とセカセカ、ギスギスしておるなあ、と感じる。クルマがびしばしと行き交い、割り込むやつやどんくさいやつにクラクションをブーブー鳴らし、急発進してタイヤをきしませる。プッシュ、プッシュ、前へ、前へ、急げ、急げ、ラッシュ、ラッシュである。
 たまに、駐車したクルマに通せんぼされているせいだろう、クラクションをブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーと鳴らし続けるアホウがいて、本人はいくらかイライラを解消できるのかもしれないが、まわりにイライラが伝染する。イヤなものである。
 twitterで誰かが書いていたのだが、クルマのクラクションの音は全て山羊の鳴き声にすべし、と決めたらどうなるだろうか。鈴の音を交えるのもよい。渋滞するなか、そこここで、
「メェ〜〜〜」
「メェ〜〜〜〜〜」カラン、カラン
「メェ〜〜」
「メェ〜〜〜〜〜〜〜」カラン、カラン、カラン
随分とのどかなふうになると思う。
もっとも、それで渋滞が解消されるわけではないから、クルマの渋滞に山羊の声が混じって、単にアジア大都市的混沌状態になるだけかもしれないが。