文字が読めないことについて

 もうひとつ、書を見るとき、「何の字が書いてあるかわからない」という問題があるが、おれの経験からすると、すくなくとも「わからなくても楽しめる」ということはいえる。

 たとえば、洋楽をきくとき、おれはたいてい何を言っているんだかわからない。それでも楽しんでいる。書も同じであって、何が書いてあるかわからなくとも、なぞってリズムとメロディを体験するだけで、十分に官能的な喜びを得られる。時折読める文字があったりもするのだが、これは洋楽をきいていて、時折理解できる英単語に出くわすのに似ている。

 もちろん、文字の意味がわかるに越したことはない。洋楽だって英語がわかったほうがより楽しめるのと同じだ(ま、たまにつまんないこと歌っていてがっかりすることもあるけど)。しかし、「意味がわかんないからといって楽しめないことはない」ということはいえると思う。

 お試しあれ。