最初のほうの話に戻るが、最近の普通の人が書く文は、主語を最初に持ってくる傾向が強いようだ。
なぜそうなったのか、わたしの思いつきを並べると、
1. 主語を重視する英語の影響
2. 仕事の文章などで、主語をはっきりするべし、という要求があるから
3. 「誰が」「何が」という一種、責任の所在をはっきりさせる風潮が高まってきたから
2と3は、根っこのところでつながっているかもしれない。
普通の人というのは必ずしも文章の書き方に習熟していない。そのせいで、つい頭の中に強くあるもの――しばしば主語――を最初に書いてしまうのではないか。
もしそうなら、
人間、辛抱だと私は思う。
私は、人間、辛抱だと思う。
この2つの書き方の違いは、書いた人の潜在意識をあぶり出しにしているようにも思う。