コップの中の嵐その2

 昨日の続き。最近あった、ヴィジュアルな著作物にまつわる3つの出来事の話。
 

 2つめは、現代アートの人の村上隆が、自作のキャラクター「DOB君」を、子供服メーカーのナルミヤ・インターナショナルにパクられた、と訴えたもの。


 1ヶ月ほど前に裁判所の勧告に基づいて和解し、ナルミヤ・インターナショナルが和解金を支払うことになった。
 金額は、数千万円と言われている。


 村上隆については、世の大半の人が知らないか、さして興味ないだろう。
 知っていても、せいぜい「時々、NHKなんかに出るチョンマゲの人」、「“世界的な”とか、“日本を代表する”と持ち上げられる人」くらいだと思う。


 わたしも、別に彼の活動に興味はない。
 テクスト解釈とか、コンテクストとか、価値転倒とか、言説とか、そんなような言葉が好きな人達と、ま、よろしくやっていてくれたまえ、ワッハッハ、という程度である。


 村上隆の会社のページに、DOB君と、ナルミヤのマウスくんの画像が載っている。


現代美術家 村上隆が訴訟提起した著作権侵害事件の和解による終了について


 まあ、これではナルミヤが負けに近い形で和解するのも当然だ。


 ところが、何じゃいそりゃ、という異論が、当事者以外から吹き出た。


「あんな絵で数千万円かよ」という、素朴なヤッカミもあるだろう。
 わたしも、この1ヶ月、ネズミの絵ばかり描いている。どこかのメーカーでパクってくれないか。


 もう少しややこしいのもある。
 というのは、村上隆ポップアートの流れを汲む人だからで、「自分もミッキーマウスや目玉の巨大なアニメ画をパクっておきながら、盗っ人猛々しい」とまあ、そんなような意見だ。


 これについて、特にわたしの意見はない。
 ただ、村上氏は、ナルミヤと300円くらいの和解金で示談にしたら、現代アートの人としてカッチョよかったのにな、と思う。