社歌のある会社ってどのくらいあるのだろうか。
また、社歌があったとして、社員は何%がソラで歌えるのだろう。
会社というのは機能的なほうがいいだろうから、別に社歌なんかなくったって問題はない。
「団結」とか、「いい意味で家族的」といった空気を醸成するために社歌を作った会社もあるだろうけれども、おそらく、今の時代、特に若い社員には馬鹿にされがちだろうと想像する。
校歌は、まあ、卒業式とか、運動会とか、学期の始め終わりの全校集会とか、歌う場が結構ある。
しかし、社歌を歌う場、というのがどういう場なのかは、今ひとつはっきりしない。
特に大企業となると、社員一同が集まる場というのはなかなかなさそうだし。
まあ、たとえば、日立の入社式で、「♪この〜木、何の木、気になる、気になる〜」と社員一同が歌っている姿を想像すると、なかなか素敵ではある。
男性社員、女性社員が掛け合いでやると、さらに素敵になるだろう。
男性社員達:♪この〜木、何の木
女性社員達:♪気になる、気になる
男性社員達:♪見たことも〜ない木ですから〜
女性社員達:♪見たことも〜ない〜
男性&女性社員達:♪花〜が咲くでしょう〜
美しい。
あるいは、ヤンマーの入社式で、
女性社員達:♪ボク〜の名前は
男性社員達:♪ヤン坊!
女性社員達:♪ボク〜の名前は
男性社員達:♪マー坊!
女性社員達:♪ふた〜り合わせ〜て、ヤンマーだ〜
男性社員達:♪キ〜ミとボクと〜で、ヤンマーだ〜
女性社員達:♪小さ〜なも〜のか〜ら
男性社員達:♪大き〜なも〜のま〜で
女性&男性社員達:♪動か〜す力だ、ヤンマー・ディーゼル〜
まあ、実際は日立のも、ヤンマーのも、社歌ではなくて、CMソングなのだが。
社歌というのは、こういうのを言う。
「いつも希望は東から生まれる 私たちの東日本」、「いつも歴史は東から始まる 私たちの東日本」と、ほとんど西日本の人々に喧嘩を売っている。
あるいは、「いつも文化は東から輝く」と「日出づる処の天子」みたいなことを言っている。
「心を熱く共にぶつけ合い 光る技術とみんなの瞳 世の人の今日と明日を託されて 駆ける彼方に豊かな社会」って、これを歌わされる社員、相当、気恥ずかしいだろうな。
次の社歌は確信犯である(いきなり音が鳴り出すので、会社の机でサボりながらこれを読んでいる人や、出る必要のない会議に出席させられて、ノートパソコンを操っているふりをしながら時間をつぶしている人は、注意していただきたい)。
社歌を装って作られた、一種のCMソングだろう。結構、話題になったらしい。いろんな意味で、よくできた歌だと思う。
日本ブレイク工業で、実際にこの歌が社員によって歌われているのかどうかは知らない。
朝の安全集会の後で社員全員が歌うことを義務づけられていて、オッサンも、オニイチャンも、経理のオネエチャン(彼女には机の上にのぼってモンキーダンスをお願いしたい)も歌っていたら素敵だ。
しかし、おそらくは、熱海での忘年会で、張り切った若手社員がカラオケで熱唱してヤンヤの喝采を浴びる程度だろう。
こうやって見てくると、次のものがなぜだか「社歌の本来あるべき姿」に思えてくる。
楽譜の左上、テンポ指定のところに書いてある「はつらつとたのしく」というところがいい。
ただし、途中から和音になるので、社員は結構、大変である。