空気

 わたしは、日本が、戦前・戦中のような軍国主義に向かうことは、少なくとも今のところ、ないと思っている。


 しかし、別の形の、引くに引けない状況に追い込まれる可能性はある。


 集団で感情的になること、ヒステリックになること、気に入らぬ相手にレッテルを貼って不名誉な存在にすること、自分達の行動に酔ってしまうこと、恐怖で相手を黙らせてしまうこと、は、引くに引けない状況に自分達を追い込む要因となるだろう。


 どうも、抽象的で大ざっぱな言葉しか思いつかなくて歯痒いのだが、「社会の空気」、「時代の空気」が極端なものになることはありえる。


 では、そういう「空気」を作るものが何かというと、政府の活動だの学校教育だのもあるだろうけど、むしろ普段、日常生活の中で、目にするもの、耳にするもの、ちょっとした言葉遣い(声をひそめて、「あの人、○○なんだってね」とか)に寄るところが大きいのではないか。


「昭和遊撃隊」や「亜細亜の曙」のような物語は、ひとつひとつ取り出せば何ということはないけれども、積み重なれば、「空気」を作っていくと思う。


 今は今で、別のものが重なって「空気」を作っているのだろう。
 わたしも、時々、「こういうことは書かないほうが安全だな」と筆を抑えてしまうことがある。イヤな「空気」を気にして、かえって消極的な形でイヤな「空気」づくりに一役買うことになりかねない。


 どうもうまくまとめられないが、とりあえずこのままにしておく。わかりにくかったら、スンマセン。


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「今日の嘘八百」


嘘二百四十八 パンドラの箱は二重底になっていて、下の底には「幻滅」が入っていたという。